appleの利益の源泉は魅力的なプロダクトデザインとおもてなしソフトウェア&サービス

2連チャンでiphoneネタ。

iPhone3Gの利益の源泉は、魅力的な端末自体の価値(すばらしいプロダクトデザインとおもてなしのソフトウェア&サービス)が製造コストに比べて、格段に高いことです。
参考:Appleはコンテンツビジネスではなくて製造業で儲けている模様です

ここで、通常なら端末売上を最大にするために宣伝し、流通コストを下げながら、在庫コントロールをしつつ、工場では更なる低原価オペレーションの実現に突っ走ります。恐らくAppleも同様の事をアウトソースを使いながら行いますが、更に端末売り以外で儲ける仕組みを着々と整えるわけです。

AppStore

AppleはAppStoreという課金プラットフォームを実装し、更に儲ける仕組みを作っていきます。そのプラットフォームは端末売上から考えると本当に儲からないのですが、AppStoreで売られるソフトウェアによる端末価値の上昇と、将来への投資を考慮し、淡々と構築していると考えられます。

Appleにとっては、ソフトウェアが増え、開発者自身が宣伝もしてくれるというメリットがありますし、開発者は検証がiphone端末のみで低コストであり、課金システムも利用可能なのがメリットという、win-winビジネスです。

ただ、AppStoreはiPhoneというプラットフォームの玉数が多くでなければ成り立ちません。したがって、まずは端末の売上台数ありきなのです。

そういう面から考えると、appleの魅力的なプロダクトデザインとおもてなしソフトウェア&サービス無くして、端末は売れませんので、AppStoreも成り立たないと言えます。

現在、AppStoreでの課金手数料は30%ですし、ソフトウェアもフリーが大半で、シェアウェアも高くて1000円です。したがって、ここからはほぼ儲からないと考えて良い。

したがって、AppStoreは決してAppleにとっての利益の源泉では無く、あくまで付加サービス的な収入だということです。

MobileMe

であれば、端末台数の拡大と共にどうするか?それは、儲かるAppple製ソフトウェアのMobileMeの拡販でしょう。具体的にどのくらいの儲けかというと、コスト構造が分かりませんので何とも言えませんが、MobileMeは、AppStore経由の手数料収入に比べると、売上ベースで一人当たり約10倍です。

  • MobileMe : 年間9800円
  • AppStore : 約900円(一人当たり年間3000円のソフトをAppStoreで購入した際の課金手数料30%分)

なので、端末を売ったらMobileMeも売りたい!というのがAppleの本音でしょう。したがって、AppStoreでソフトウェアを売るには、MobileMeの機能代替は避ける方が無難です。

まとめ

iPhoneの利益の源泉をその会計上のインパクト順に並べると、こうなります

  • 端末売上(低原価かつ高付加価値)
  • MobileMe(自社製ソフトウェア)
  • AppStore・iTunesからの手数料

では、なぜAppStoreなどという儲からない事をやっているのか?結果的に端末が売れるようにするにはどうすれば良いか初代iPhoneから学んだ*1ということですが、その根底にはジョブズのこのような考え方があったからだと僕は信じています。

儲からなくても、世界がより良い方向に変えようぜと、大人たちが会議室やカフェでディスカッションしているのに僕は敬意を評するし、自分もそうありたいと思います。

シリコンバレーの存在理由は「世界を変える」こと。
「世界を良い方向へ変える」ことだ。
そしてそれをやり遂げれば、
経済的にも信じられないほどの成功を手にできる。── スティーブ・ジョブズ
Silicon Valley is all about changing the world. It's all about changing the world for the better, and if you do that, you can be incredibly successful economically.──Steve Jobs

*1:WWDC2008基調講演より