働くひとのためのキャリア・デザインまとめ(2)

働くひとのためのキャリア・デザイン (PHP新書)

働くひとのためのキャリア・デザイン (PHP新書)

http://d.hatena.ne.jp/usukey/20080307/1204820392の続き

準備→遭遇→順応→安定化

ロンドンビジネススクールのナイジェル・ニコルソンのモデル。大きく4つのフェーズがあり、準備→遭遇→順応→安定化というサイクルとなっている。キャリアを考える上で、こういうモデルを捕らえていると、今自分がどこにいて、なにを課題とし、乗り越えるにはどうすれば良いかを知る手がかりとなり、大変助けになった。

節目に一皮むけるトランジション・サイクル・モデル

第1(5)段階 準備(preparation) 第2段階 遭遇(encounter)
A.課題と目標 有益な時期、動機、感情を育むこと 新しい状況に対処できる自信、そこで意味を見出す喜び
B.不適応の場合 過度の期待や浮かれた楽観主義:恐怖、嫌気、準備不足 ショック、拒絶、後悔
C.うまく適応するための方策と救済策 RJP(仕事の現実をありのままに事前に知らせること) 社会的支援(ソーシャル・サポート)、システムでの余裕、安全、新しい世界を探索し発見する自由
D.マネジメントや人事部の役割 リクルート、教育と訓練、キャリア分析と助言 具体的な仕事への配属と訓練、手ほどきと社会か、職務分析、集団分析、作業スケジュールづくりと計画
E.基本的な心理過程 期待と動機という心理過程 知覚と情緒に彩られた心理過程
F.その心理過程に適用できる理論 モティべーション理論(たとえば、期待理論)、職業(職種)選択理論 情報処理とストレス対処の理論
第3段階 順応(adjustment) 第4段階 安定化(stabilization)
A.課題と目標 個人的変化、役割の発達、関係の構築 持続した信頼とコミットメント。課題をうまくこなし、人びととうまく接する
B.不適応の場合 うまくあわない、体面を傷つける、不平 失敗、あきらめ、まやかし
C.うまく適応するための方策と救済策 なすべき本当の仕事、初期の成功体験、即座のフィードバックと相互のコントロールを通じての有益な失敗経験 目標設定、役割の進化の評価 自己裁量的な管理
D.マネジメントや人事部の役割 監督スタイルとメンタリング(師にあたるひとの面倒見)、業績フィードバック・メカニズム、チーム開発、個人開発(自己啓発)の活動。職務再設計 コントロール・システム、リーダーシップ、資源配分、業績評価
E.基本的な心理過程 同化となじみの心理過程 さらなる関係づくりと役割遂行・業績達成
F.その心理過程に適用できる理論 個人の発達(自己啓発)と組織変革の理論 リーダーシップ理論、役割理論

p.87 図2より抜粋(表現は変えてあります)

著者の描くキャリア・トランジション・モデル

キャリアを考える上での1つのフレームワーク。4つのフェーズがあり、フェーズを終了した後、元のフェーズに戻る。その際、プラス方向に、螺旋階段を上がっていくようなステップを経ていれば、なお良い。本書では、更に発達心理学の概念を組み合わせて説明してある。

もうひとつのキャリア・トランジション・モデル

  1. キャリアに方向感覚をもつ
    • 大きな夢、でも、現実吟味できる夢を抱く。生涯を通じての夢を探しつつ、節目ごとの夢(の修正)。
  2. 節目だけはキャリア・デザインする
    • 人生や仕事生活の節目ごとに、なにが得意か、なにがやりたいか、なにに意味を感じるかを自問して、キャリアを自覚的に選択する。
  3. アクションをとる
    • デザインしたら、その方向に、力強い最初の一歩を歩み、元気を持続する。MER(最低必要努力投入量)を超えるまでは、よいがまんはしつつ、がんばってアクションを繰り返す。
  4. ドリフトも偶然も楽しみながら取り込む
    • あとは、つぎの転機までは、安定期にも退屈することがないように、偶然やってきた機会も生かす。ドリフトとデザインの対として楽しむ。
  5. 1に戻る

p.259 図4より抜粋

キャリアの節目をどう見つけるか?

今がキャリアの節目だと気づくきっかけはどのようなモノがあるのか。本書では4つの契機を上げている。僕の場合、今まで1と4に心当たりがある。できることなら、3を経験したいものだ。僕がやっている事が楽しくてしかたないのはなぜか?そんな問いを自分に投げかけたい。

節目と気づかせてくれる4つの契機

  1. なんらかの危機
    • このままでいいのかという焦燥感。キャリアのどん詰まり感覚。このままでは具合が悪いと思ったとき。
  2. メンターの声
    • 自分では節目だと気づかないときに、その種の節目を先にくぐってきた先輩、上司、身内(親)などの声がそれに気づかせてくれることがある。
  3. ゆとりや楽しさ
    • 自分がやっていることがあまりに楽しいとき、はまっているとき、いやだいやだと言って始めたのに、それがうまくできているのにふと驚いたとき。やっていることがすごく楽しくなってきたときは、心にもゆとりが出てきて自分らしさをチェックするのに、これもまたいい機会なのだ。
  4. カレンダーや年齢的な目印。昇進、昇格、移動などの仕事上の明確な節目。
    • 年齢的節目、会社の人事制度ゆえに節目となるような適齢期。。

p.268〜より抜粋